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BOOK review

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[412]人を伸ばす力―内発と自律のすすめ

2012-12-30 (sun)|カテゴリー:コメント:0

いわゆる内発的動機説のエドワード・デシが,平易に内発的動機や自律性についてまとめた本.

いかに,学習者の実際の学習が動機によって支えられているか,また,それをいかにすれば育めるのか.

 

ナルホド,とおもったのは,こういう臨床や主観的な要因である動機にモチベーションのベースがありながら,

実験心理学の枠組みで示そうという努力は,人間を物質化する行動主義と,ひたすら主観である精神分析の

間で困難な立ち位置を求められる立場だったのだそうだ.

 

その中で,しっかりと実証的に内発的動機の重要性について示し,自律性へ道筋をたてたデシは

エライと思う.

 

内発的動機づけ

 

大学の研究室を運営している人や,会社のマネージャ,親は必読な本かもしれない.

 

かなりインパクトのあるフレーズが飛び出す.

その中から,ボクが気に入ったのをいくつか.

 

p.262

自律性や人生の経験を制限するもう一つの基準として,幸福になることが人生で欲しいもののすべてであるという信念があげられる.

(中略)人にとって自然なことは何か,人が求めることは何か,人の発達を促進することは何かを表すには,幸福というのは

不適切な概念である

 

p. 182

生きる意欲に関する研究において,(中略)外発的目標を後生大事にしている人の精神的健康は低かった.

 

p.143

自律性の支援が自由放任と同じでないことは,いくら強調しても強調しすぎることはない

 

特に最後は,放任主義で自律性を育てようとしている,教授陣に頭に入れておいてほしいことかもしれませんね.

自戒もこめつつ・・・

[411]コンプレックス

2012-12-30 (sun)|カテゴリー:コメント:1

河合隼雄著のもはや古典?

河合隼雄先生はドイツからユングの教えを日本に届けた人である.

日本の精神分析の研究者なら最も有名な人の一人だろう.

 

コンプレックスと言うことばは,日本語の日常語としては「劣等感」という言葉と

同義みたいに使われるが,そもそもの言葉はそういうものではない.

 

本書は,人の心を考える上での一つの概念であるコンプレックスに焦点が当てられて

分かりやすく説明される.

 

本書の中でまず,コンプレックスとは

 

「~このように無意識内に存在して,何らかの感情によって結合されている心的内容の集まりが,

通常の意識活動を妨害する現象を観察し,前者のような心的内容の集合を,感情によって

色付けられた複合体(コンプレックス)」 p.13-14

 

と示されます.

 

つまり,自我の下の無意識化にあり,自我と絡まりながら存在する心的内容の集合なのです.

 

これは過去のインパクトのある経験だとか,生まれながらに持っているものとか,

様々なものがありますが,僕達の状況の受け止め方や夢など様々なものはこのコンプレックスに影響されます.

 

 

具体的なコンプレックスで

一番有名なのは,父殺しのエディプス・コンプレックスだろう.

簡単に言うと,男の子が父親を超えたい+マザコンというコンプレックスだ.

 

その他の,具体的なコンプレックスで,現代において注目に値するのは

 

メサイヤ・コンプレックス

・・やたら,他人を救いたがるコンプレックス.ボランティア活動をやっている人は,結局はこのコンプレックスに突き動かされている場合がある.

p. 61

 

ディアナ・コンプレックス

・・女性における男性的な強さと独立心のコンプレックス p.162

 

最近の政府はディアナ・コンプレックスを助長し続けてますね.

 

 

 

個人的には,母親が過去に河合隼雄に師事していたこともあり,

中学生の頃から親しんでいた概念.

改めて,読んでみたという格好.

あまり,今まで持っていたイメージとのギャップは無かった.

 

 

世の中の心理学は実験心理学,経験主義的な心理学ばかりに向かいがちだが,

折りにふれては立ち戻るべき有益性が臨床にはある気がします.

[410]日本を滅ぼす消費税増税

2012-12-29 (sat)|カテゴリー:コメント:0

 

野田内閣の消費税増税に対しては,以前から僕も声を荒げて批判していたが,

正直,ミクロ経済的な基礎知識と,公約違反の民主主義的問題に基づくモチベーションが大きく

マクロ経済的な視点がかけている面があった.

 

・・・まぁ,もちろん,それは良くないことで

「マクロ経済もわからんと,反対しとったんか!?」

っていわれたら甘んじて受けます.

 

 

まぁ,そういうこともあって,

他の,消費税反対論者はどういう論理武装をしているのだろう?

という疑問をずっともっていた.

 

そこで,駅の本屋さんで見つけたこれを読んでみた.

 

マクロ経済ベースの話なのだが,

新自由主義+財政均衡を目指すことが,いかにデフレを生み,デフレが如何に

国家を破壊するか,という事が綴られている.

 

個人的には新自由主義と消費税が,ほぼ必然的にタッグを組むように書かれていたのが

意外かつ新鮮であった.(僕が無知だっただけかもしれないが)

 

また,本書は野田政権時代に書かれた本であるが,言っている事が現安倍政権の主張に

近いものがあるのも面白い.

一方で,本書は小泉政権については批判している.

 

本書一冊の論理を完全にありがたく戴くわけにはいかないが,

僕としてはやはり,マクロ経済をもう少し頭にいれて,納得しないと

いけないな,と思わされたのが本書でした.

 

ゆるやかなインフレが望ましいようだが,それが,なぜかと考えると,

それはシルビオ・ゲゼルの言う減価貨幣ともつながっているんじゃないかと思いました.

 

ちょっと,読んでみて欲しい.

特に,経済学クラスタな人に読んでもらって,この論理をどう捉えるべきなのか

議論したいなぁとおもいました.

[409]舟を編む

2012-12-28 (fri)|カテゴリー:コメント:0

本屋大賞一位だと,後にしりました.

小説です.

辞書を作る人達が主人公です.

 

さて,僕がこの本を知ったのは

僕が研究のなかで記号接地問題や,記号創発システムについて語るときに

「辞書では言葉の意味を定義しきれない」

という事をよく言うのですが,

これは,古典的人工知能における意味ネットワークやオントロジーへの

批判的考察としていいます.

たとえば↑のような感じです.

 

こういうことを話してると,

「辞書作ってる人も,そのあたりの葛藤は当然もっているので,その人たちの気持ちもくむべき」

というツッコミをいただいて,それはそうだと思っていたのでした.

 

で,「舟を編む」って本が面白いよと,すすめられたのでした.

 

文体は文学作品というよりかは,ラノベっぽい軽い書き口で,

僕としてはそれほど読みやすくは無かったのですが,

 

引き込まれるのは,何回か話しの視点が変わるんですね.

最初主人公の視点が,次は他のメンバーに変わる.

そんなことで,辞書の完成に至る長い道のりが,いろんな人の視点から描かれて

最後には,辞書が完成する.

 

それほど,引きこまれていたわけではないのに,

最後はウルッときてしまったのは,ある意味でしめがベタなのですが・・・・,

 

辞書作り という独自の世界を切りとったという意味で,面白い本だと思いますね~.

[408]生活保護の謎

2012-12-24 (mon)|カテゴリー:コメント:0

消費税増税,高齢化,財政,,,,何をとっても

社会保障費がついてまわる.

小泉構造改革が批判される源の貧富の差.

 

その底に横たわる 「生活保護」

 

その実態を平易にレポートしてくれている本.

基本的には数値データとと,実態についてのレポートなどで書かれているので

左翼だとか,偏った制度批判とか,そんなでもない.

 

本書から見えてくるのは,やっぱり 「制度の『上手くない』設計」だ.

 

ここんところの日本はこればっかりだ.

政治は「投入予算額」ばかりを言う.しかし,ビジネスと同じ,研究と同じ,

額が少なくても工夫で効果はあがることもある.

実態はその逆にハマっているようである.

 

小泉構造改革が問題だとか,多分,叫ぶ前に,

民主政権だろうが自民政権だろうが,第三極だろうが,取り組むべき制度的欠陥が

あるのだなぁ,と思った.

一番やるべきなのは,生活保護脱出のインセンティブの設計とアフターケアみたいですね.

 

amazon評価を見ると,

本書が「現場を見ていない!」と,おっしゃっている人もおられるので,

多少割り引いてはみておく.

ただ,僕の方が圧倒的に現場をしらないので,まぁ,勉強にはなりましたー

[407]生き延びるためのラカン

2012-12-23 (sun)|カテゴリー:コメント:0

 

 

夏休みに読んではいたけど,
ここに書くのを忘れてました.
と,そういうことです.

この夏休みは,構造主義における精神分析の大家ラカンの思想を読み解こうと
様々な和書に手をだしてみていた.

 

具体的には

 

[396]ラカン (ちくま学芸文庫)

[399]現代思想冒険者たちSelect 鏡像段階 ラカン

[340]ラカンの精神分析 (講談社現代新書)

 

などだ.

本書,「生き延びるためのラカン」はタイトルからしてイロモノっぽくて敬遠していた.

しかし,答えは違うのだ.

 

この本こそ,国内で発行されているラカン本の一番の入門書であると思う.

 

現代思想家に共通しているが,また,ラカニアンの語りっぷりは特有だ.

「わざとわかりにくくしているんじゃないか?」

という節がある.

 

その点,本書はザックリしている.

自分はラカニアンではない と断言し,

専門じゃないからこそのザックリ感で説明していく.

 

それでいて,特に本質は外していないんじゃないかと思う.

 

他のラカン本の僕にとって微妙だと思うところは

・ラカンの思想,学問としてのラカン

よりも

・人物としてのラカン

に目が行きがちということだ.

ラカンのアイデアである,「大文字の他者」を始めとする概念は,

僕達の進める記号創発システムの思想からしても重要な概念である.

 

「生き延びるためのラカン」

は,言葉をかえれば

「実用書としてのラカン」

「普通の専門書としてのラカン」

という意味かもしれない.

 

お勧めです.

僕はラカンの原著は読めていないんですが,

いろんなブログの批評などを見ていると.

この本を読んでから,もう,日本語の他の解説書すっとばして,

原著に向かうのが正解っぽいです.

時間があれば,原著も読んでみたいです.

[406]株主総会

2012-12-21 (fri)|カテゴリー:コメント:0

Twitterで推薦いただいてみた編

と呟いたら

 

心優しい, @keiji_ariyama さんから

と教えていただいて読んでみたという,簡単な動機です.

薄いのですぐ読めます.

筆者は弁護士で「法律の穴」というか「危険な商習慣」について
日頃感じることがあるもようで,その中の一ネタを小説にしてみたら
とてもおもしろかったというもの.

リストラされた社員(主人公)が,法的に得ていた委任状を行使すると
どういうふうになるか??

この一点突破で事件は起き,話は進んでいく.

ハゲタカのような,押したり引いたり,巻き込んだり巻き込まれたりみたいな
長編的人間模様はないけれど,中編小説といった雰囲気で一気に読める.

読んでいて「ああー,筆者は業界の人だろうなー」と思った.
文学的な語り口より,知識が優先されるように思う.
しかし,それもまたよし.

知識やリアリティがついてこない経済小説ほどアヤシげなものはない.
文章はテンポよく読ませてくれれば良いのである.

とにもかくにも.
「ハゲタカ好きなんですけど,そんな僕にお勧めの本」
という要求仕様はしっかり満たしてくれていた本だったと思います.

ありがとうございます!

[405]夜の果てまで

2012-12-20 (thu)|カテゴリー:コメント:0

某書籍の執筆作業中に,自分の読んだ小説を読書履歴,本棚で確認してみていた.
僕の読書履歴には問題があることが発覚した.

1.いわゆる名作をほとんど読んでいない.
2.小説の積読率が非常に高い.

ビブリオバトルの経歴を見てもわかるように,
僕はどちらかというと,専門書の類を好んでよく読む.

小説の棚は本棚の中でひときわ小さいのだが
その中の「積読率」は極めて高い.

その中の一冊をふと取り出して読んでみた.

時代は 1991年.
僕達の世代にとっては耳馴染みのある年代だが
かれこれ20年前である.

お話としては,20代の北大生が,人妻を好きになってしまうというお話.
駆け落ち,失踪系とでもいうのだろうか.

ストーリーの何が特異かというと,・・・とくにこれといって気づかないのだが,
大学生と相手の女性の間は一回り違っている.
その設定なのだが,女性が非常に魅力的に描かれている.

なんというか,文章から漂ってくる色気とでもいうのでしょうか.

別に卑猥なことは無いのですが,そういう色気を含めたドキドキ感が
最後までひっぱられます.

ストーリーのドッタバッタみたいなことは無いのだが,
分量的にはかなりある小説でございました.

「最近,枯れてるなー」
という40代男性はどうぞ.

[404]非選抜アイドル

2012-12-19 (wed)|カテゴリー:コメント:0

僕はAKB48に関心がない.
・・・というか,むしろ敬遠している方だ.

某アカペラサークル時代始め,プロデューサー的稼業を
キャラに持つ僕としては,どうしても,AKB48の女の子一人ひとりよりも
その向こうにいる秋元康が透けて見えてしまい,純粋に楽しむことが
一切できない.

僕のアイドル史,J-POP史論評を書くと,当然にして
この記事が肥大化するので,それは避ける.

いいたいのは一つ.

僕がAKB48に関連する本を買って読むというのは異例であるということだ.

本書を買った理由は
・非選抜アイドルという視点が面白い.
・現役の低年齢のアイドルが文筆をとるというのが面白い.
・それがAmazon等で非常に評価が高い.

というあたりだ.

読んでみた感想としては,とてもおもしろい.
なんとも,清々しい.爽やかだ.

導入こそ,世の中の「非選抜」の人たちに贈る.
# 世の中で表面的に目立たない,報われない人たちに贈る

という風な書き方で,ビジネス書のようなニュアンスを
持っているが,実質的には,自叙伝,ノンフィクションである.

本人自身の感じたことを,いいところもわるいところもそのまま出しながら,
AKBに入るまでと,今までを書いている.
彼女のこれまでを追う形で読める.

また,その時系列的なストーリーに乗せながら,きちんと
・「非選抜アイドル」とは何か?
・今の時代では何が大切なのか?
・AKB48とは何か?
というようなテーマをきちっと読ませている.

正直,これが20歳のアイドルの文章としては驚いた.

本書の結論めいた部分では
「自分を育てたのは逆境である」
と,述べているし,自分が「ゆとり世代」であることを認め
だからこそ,AKB48のような競争の場が必要だったというように述べている.

無理にとは言わないが,
読んで頂いたらよいのではないかと思う.

大人の書いた,小難しい新書よりも,
より,まっすぐと今の時代を,考えさせてくれるかもしれない.

[403] 聞く力―心をひらく35のヒント (文春新書)

2012-10-27 (sat)|カテゴリー:コメント:0

今,ものすごく売れている本なので,ある意味で執筆の研究の意味もあって読んでみたのである.

週間文春でインタビュー連載「阿川佐和子のこの人に会いたい」をかれこれ900回以上されている阿川佐和子さんの

体験談などを多く交えながら,「聞く」ということについて書いている.

 

読み終わって,この本なんだったんだろうというと,

ハウツー本じゃなくなっている気がするんですね.

時折,会う前にはその人のことを調べておこうとうか,そういうふうなことが挟まれていますが,

ほぼ,阿川さんのコラム的な色彩が強い.

 

「聞く力」についても,決して,ハウツー的な答がだされているのではなく

「聞くって難しいですよね?一緒に考えてみましょう.」

的なニュアンスが最後までつらぬかれている.

 

また,聞くといっても実際は「聞く」全般ではなくて,その中の「対談のインタヴュー」という,極めて限定されたものなのだが,

その話を「聞く力」というカタチに一般化したのは,タイトルと内容のマッチングの勝利だろう.

 

中身についても,阿川さんの経験談にエビデンスを置きながら,語り口はあくまで柔らかく,よみやすくできあがっているので,

売れる理由はある本かな,と思った.

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