[347]フェミニズム・ワードマップ
図解雑学だと粗すぎると思われたので,
amazonで見ていて評価も高かったこちらを買ってみました.
フェミニズム ワードマップ.
いろいろなフェミニズムのトピックが載っている.
そして,おどろいたのは,非常に分派していること.
リベラルフェミニズム,ラディカルフェミニズム,ポストモダン・フェミニズム
マルクス主義フェミニズム,ポストコロニアル・フェミニズム,
レズヴィアン・フェミニズム.etc etc
また,男女差別という二項対立図式をベースにおいているためか,
非常に対決色が強い.
前述の図解雑学ジェンダーと つながる議論ではあるのだが,
フェミニズムの学問,いや言論活動は,「許せない差別」の認識がまず第一にある.
その次に,こうすべきという考え方がくる.
その次に「理論構成」をする,という手続きを踏むことが多いようである.
そして,理論構成をしてしまったら,新たな問題に対して,その理論構成では
自分が言いたい結論と違う結論がでては.「困った」となる.
また,理論構成も,他の人文の理論のキーワードを借用するスタイルが多く,
また,借りてくる論は自然科学ではなく,構造主義等のそれ自体が科学的論拠を持ちにくい
思想が多いので,議論のベースがどうも不安定である.
# 構造主義はそれ自体では,きわどいなかにも面白い論理構成があるのだが,
# その借用となると,どうも,本質の論点からずれることもあり,不安定...
しかし,どうも,読んでいると,「目的」がそこにはない,つまり「〇〇の解明」にあるのではなく
「男女差別の打破」にある.そういう意味では工学的なのかもしれないが,どうもそうでもないらしい.
工学だと,使えないものを研究してもかまわない.ちゃんと,その,使えない1プロセス
をデータで真なることを示せば価値がある.
ところが,どうも,そういうことも無いようだ.
傾向としても,政策への意見や,社会の中での言論に結びつけようとする活動的性質が
強すぎるがために,落ち着いた学術的議論を展開するのが難しいような印象を受けた.
このあたりは,応用のアウトプットを激しく求められる企業の工学者に近いのかもしれないが・・.
個人的なイメージとしては社会における男女差別の非平衡状態の軋轢の中でそれを解消せんがために
うまれている活動,それを現代思想的な議論として展開する活動,および男女差別の解消への言論全般が
フェミニズムなのだろうか,,,と感じた.
その解消が役割ならば,永続的な学問分野ではないのだろう.
この一冊でフェミニズムのことを分かった気になるなということもあるかもしれないが,
# 分かった気になったわけではなく,わからないことだらけだが・・・・
衝撃を受けたのは事実である.
理系の人間にとっては,構えて読まなければ,刺激が強すぎるかもしれない...
Dhediyan 2012-04-25 (wed)
Super infortmiave writing; keep it up.