305 都市経済学(シリーズ・新エコノミクス)
日本評論社
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都市,まちづくり関連で最近いろんな議論をするようになって,
いろんなアプローチがあるわけなんだが,
で,「都市経済学」というと,どういうアプローチの研究になるのか?
ということで,買って読んでみた.
基本的には一般均衡分析をいろんな,問題にあてはめて,議論する.
特に地価とか,住宅補助とか,密集の効果とか,
こういうのは,数理モデルとして,シンプルな一般均衡分析,つまり
需要曲線,供給曲線の動きで大体のものを表現しようとするアプローチ
を用いて,
一方で,実際のデータを表現できるか検討しながらすすめる.
実際の数値にバチコーンと合うことは,なかなか開放系である
経済システムではいかないんですが,
傾向というか,理解の枠組みとして,便利な道具である.
実データ話で言うと,
一人あたりの居住空間って,戦後,現在まで,都市部でも地方でも,ほぼ純増
しているんですね. 文化のアメリカ化の影響だろうか??
あと,農地補助,住宅補助とか,容積率規制とかが,
ことごとく,経済学的な帰結とは,逆方向の施策であることを,なかなか厳しく糾弾していて
それが面白かった.
セーフティーネットや,所得の再分配は必要な面もあるが,
「なんで,敢えて住宅消費に縛る形で,再分配するんだ!?食につかう人は食につかえばいーじゃない?」
的な指摘など,なるほど, と思わせる指摘も多く面白かった.
一般均衡分析ではいつも思うんだけど,どうしても
均衡状態ではなくて,時間方向の動態がみたいなぁと思ってしまう.
自分はマルチエージェントシミュレーションなんかでこのあたりを表現したりするんだが,
業界的には,どうなんでしょうね?