358 「きめ方」の論理 社会的決定理論への招待
「きめ方」とは,みんなの意見があったときに,よのなかの決定をどう決めるかという
「決め方」のこと.
社会的決定理論の名著.
# というか,この手のネタでは,誰にきいても,この本がとりあえず挙げられる?
社会的決定とは,例えば会議での議決や,投票による決定など,集団で決定することを意味する.
そこでは,もちろんそれぞれの考え,選好順序,ザクっというと好き嫌いの順番を まとめあげて
組織としての決定にしなければならない.
そのときに,どうやってきめます?
・多数決?
・全会一致?
・最も反対のすくないもの?
これらがいずれも「絶対に正しいやり方」ではないことが知られている.
また,自然な意思決定法をとっても
みんな AよりB がいいとおもっているのに,結果的にはBのほうがAより良いと
結論づけられてしまうことがあるなどという,パラドックスもしられている.
社会的決定理論の研究を俯瞰しながら,それに閉じることなく
ゲーム理論や格差のについての理論(ジニ係数)などの話になめらかにつなげていく.
学問の繋がりも見えて,
「へー,そうつながるのか~」
と読み進められる本.
ソフトカバーの縦書きで,読みやすくさらっと読めるのかとおもいきや
数式(というか論理式)が盛りだくさんで,なかなか,斜め読みではキツイ
たまにはノートを開いて思考練習することも必要だろう.
個人的には,横書きの教科書としての方が読みやすいかな?
と思った作品.
きっと,研究室の勉強会の題材などにすると,味わい深いのだろうと思いました.
正直,一回ざーっと読むだけでは,理解しきれなかったと思う.
また,折をみて学びたい学問である.