[345]市場・知識・自由ー自由主義の経済思想
2011-08-19 (fri)|カテゴリー:|
ハイエクは全集がでているが,
本書は 市場・知識・自由というテーマにそって
ハイエクの論文を8つほど訳している.
第一章で「真の個人主義と偽の個人主義」について
合理主義から始まり,全体主義へと向かってしまう偽の個人主義と
真の個人主義を歴史的な視点も持ちながら区別していく.
何に対する「自由」なのか?
自由や平等といったことばの意味が錯綜した状況.
それは,実際に今現在も地続きにつづいているのだが,
その違い,問題点をしっかりと語っている.
この第一章はぜひ多くの人に読んでいただきたい.(政治家や活動家,知識人のみなさんとくに)
第三章の競争の意味では,
経済学でいう完全競争の状況になくても競争は意味があることを述べている.
完全競争市場から離れているということが,独占企業を保護する理由にはならないのだ.
4,5,6では 主にオーストリア学派とイギリスの自由主義思想の先人についてふれる.
そして第7章は ケインズぶったぎり・・・・・.
経済学=ケインズ みたいに,素人でも名前をしっている学者であるが
そのケインズがこうも切られるのか・・ というのを読むのは面白いと思う.
↓参考 youtube
今,日本が危ないとおもう.というか,危ない方にころがっていこうとしている.何が危ないかというと,国家が大きくなっている.大企業が政治と結びついて固定化されてきている.
みな,未来を変えようとするときには 国家や政治に要求する,政治家がだめだという.そうじゃないんだ,未来を変えるのは起業家精神なのだ,アントレプレナーシップなのだ.そう,70年前からハイエクは言っているのだろう.
結構,赤線を引いた一冊.
しかし,ハイエクのようなボトムアップな思想がしっかりと理解を得て,政策とつながっていくのは,時間がかかることなのだろうとおもうし,われわれも努力をつづけなくてはならない..