379「ラディカル構成主義」
グレイザースフェルトの radical constructivism の邦訳 by 橋本渉先生
気になって洋書で泣く泣くよんでいたので,邦訳はうれしい.
Constructivism = 構成主義
僕の著書 「コミュニケーションするロボットは作れるか 記号創発システムへの構成論的アプローチ」
コミュニケーションするロボットは創れるか―記号創発システムへの構成論的アプローチ (叢書コムニス13)でも触れている概念.
ピアジェの発生的認識論やマトゥラナ,ヴァレラのオートポイエーシスなどが,この文脈にのる.
僕としては これ以外考えようがない と思うくらいの常識的な世界理解なのだが,
世の中としては(特に西洋哲学の伝統?)マイナーだ.
世界の認識は,発達や主体の適応をとうして構成されるという考え方.
ピアジェは発達段階説が重要な,発達心理学者ではなく,
シェマモデルなどを通じて,西洋伝統的な認識論の変更を迫った,と捉える.
というか,それが革新的.
それを,構成論的アプローチと交えながら,社会におけるコミュニケーションの構成まで
計算論的方法でのモデリングを進めて,記号系のミクロマクロループの形成まで
とらえたい というのが,僕が書いた 記号創発システム論
そのベースにあるのは,やはり,まさにラディカル構成主義的な考え方だ.
ラディカル構成主義は,僕の理解ではピアジェのの再解釈である.
再解釈というか,「原点に戻る」だけの事だ.
認識を発生的にとらえるピアジェの視座を取り戻せ.ということだ.
本書は,構成主義とは何か?そして,西洋思想の哲学の中でそれをどう位置づけるのか?
ということを振り返りたい時にやくにたつ一冊だろう.
ラディカル構成主義は特別なことではない.
もはや普通のことであるべきだ.