267 カーネル多変量解析―非線形データ解析の新しい展開
岩波書店
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SVM(サポートベクターマシン)についての書籍や解説は多いが,他のカーネル法に焦点をあてた本というのは意外に少ない.
で,
ここだけの話し
谷口は
「SVMがキライ」
という,機械学習やさん としてはワケノワカラナイ性癖を持っているのです.
カーネル法は非常に重要だと分かっていながら,
本をひらくと大概カーネル法といえばとりあえずSVM・・・で,そこで引いちゃう
といったかんじで,あまり,カーネル法をうまく勉強できていませんでした.
カーネル法は 非線形の問題を,カーネル・トリックをつかって,エイヤで,
少ない計算コストで解けてしまうという.すばらしいもの.
実際にはSVMであつかう,「サポートベクトル」という考え方とはある種,独立に
存在するのです.
しかし,そこを上手く導入してくれる本っていうのがなかった.
本書は、カーネル関数とは何か?
からはじめ
カーネル回帰,カーネル主成分分析,カーネルk-means と
通常線型でやられるものの,シンプルなカーネル化という,方向でどんどん
進めて行く.
この辺りは,数学的にも行列計算主体で進むので,
スッキリしていいのだ.
カーネル判別分析,カーネル正準相関分析,などとしてから SVMに入る.
SVMはカーネル法 のみがエッセンスではない.
例えば,サポートベクトルという小数のサンプルで分離面を描けるのは,
カーネルの偉さというよりかは,ヒンジ型の損失関数による.
もとい.
カーネル法について,研究上発見された順ではなく,数学的に,分かりやすい順に
ならべて,SVMはカーネル法の一つの特殊ケースと位置づけて解説している.
非常に,まっとうな本なのです.
ながらく積ん読していて本当にもうしわけなかった(笑)
おすすめだ.