359 フェイスブック 若き天才の野望
話題のSNS, Facebook の伝記的一冊.
現在進行形のサービスをこのように伝記的に書ききった一冊は衝撃的.
創業者にしてCEO マーク・ザッカーバーグがハーバード大学でfacebookを立ち上げて
そこから,どのようにして今に至ってきたかを克明に,記している.
本書から日本のベンチャー志願者が学ぶべきコトはおおいだろう.
それはfacebookの成功物語ではない.
本書からのぞかれる シリコンバレーの生態系であり,
サービスが成功に至るまでの,思考であり,真摯さである.
その舵取りを,安易にしてしまったもの,時機を逸したものが競争のなかで消えていく姿も印象的.
また,どのような成長過程でどのように「訴えられるか」も勉強になる.
facebookがサービスの拡大をしながらも,驚くほど収益の安定には時間がかかっていたこと,
マーク・ザッカーバーグがいかに哲学をもって行動を続けていたかということ.
個人的には,オープン社会に対するザッカーバーグの考え方に非常に共感した.
ザッカーバーグの主張は ITによりオープン化が進んだ社会においては,複数の自己を持つことが
難しくなる.ゆえにFacebookはそれを進める.実名登録を義務づける.
このシナリオには同意する.そして,実践として僕もその手を打ってきた.
tanichu.com や twitter で実名発言を行っているのも,その信条に基づいている.
# 僕がしばしば言う,『公私混同』というキーワードも,一部これと重なる.
では?なぜ,facebookにはさまざまなプライバシーの設定があるのだろうか?
それを本書の中では「人々がそこに至るまでの過程」というような説明をしている.
つまり,みんながいきなりオープンじゃ,キツイから,プライバシー設定をいろいろ出来るようにしているというのだ.
これで,僕はなぜ僕がfacebookをつかわずにtwitter に走りつづけているのかが分かった.
twitter で 実名オープンで走っている僕にとっては,facebookの承認などは面倒なだけなのだ.
だから,僕はtwitterで発言している.
ただし,facebookの実名に基づく住所録的な機能は卓越しており,
twitterでは各ユーザが誰だかわからなくなっても,facebookだとそれがわかる.
これはfacebookの優位性だが,「すべてがオープン」な未来とどう共存できるのかはよく分からず・・・.
SNSにはネットワーク外部性がある.
日本ではmixiが強い覇権を持っている.最近Facebookが攻勢を強めているが,どうなるのかは,予断を許さないだろう.
個人的にはmixiのアカウント名から「だれだったっけ?」と考えるのは非常に面倒くさく,
全てが実名になってくれるに,こしたことはないので,facebookが攻めてくれるか,mixiが実名に移行してくれた方がありがたい.
ちなみに,
過激意見かも知れないが,
個人名を出してはいけない企業人以外でネット上実名じゃない多くの人は,
さっさと実名をさらせばいいのに~,と思う.
「個人情報保護」の神話に幻惑され,個人情報をさらすと
世の中こわいことだらけだと思っている人が多いが,それは大きな勘違いだと思う.
ネットはただのメディア.どんどん晒せばいいのだとおもう.
多分,標準的な人なら,得られるメリットの方が,デメリットよりずっと大きいとおもうんだけどなー.
そうでない場合は,
ネット上でのアカウント名を統一することをお薦めする.
その結果,実社会でもそのアカウント名で呼ばれたりするようになったりするのだが・・・.
言うまでもなく,私は tanichu です・・・念のため.
ちなみに本書・・・
おもしろいです