[412]人を伸ばす力―内発と自律のすすめ
いわゆる内発的動機説のエドワード・デシが,平易に内発的動機や自律性についてまとめた本.
いかに,学習者の実際の学習が動機によって支えられているか,また,それをいかにすれば育めるのか.
ナルホド,とおもったのは,こういう臨床や主観的な要因である動機にモチベーションのベースがありながら,
実験心理学の枠組みで示そうという努力は,人間を物質化する行動主義と,ひたすら主観である精神分析の
間で困難な立ち位置を求められる立場だったのだそうだ.
その中で,しっかりと実証的に内発的動機の重要性について示し,自律性へ道筋をたてたデシは
エライと思う.
大学の研究室を運営している人や,会社のマネージャ,親は必読な本かもしれない.
かなりインパクトのあるフレーズが飛び出す.
その中から,ボクが気に入ったのをいくつか.
p.262
自律性や人生の経験を制限するもう一つの基準として,幸福になることが人生で欲しいもののすべてであるという信念があげられる.
(中略)人にとって自然なことは何か,人が求めることは何か,人の発達を促進することは何かを表すには,幸福というのは
不適切な概念である.
p. 182
生きる意欲に関する研究において,(中略)外発的目標を後生大事にしている人の精神的健康は低かった.
p.143
自律性の支援が自由放任と同じでないことは,いくら強調しても強調しすぎることはない.
特に最後は,放任主義で自律性を育てようとしている,教授陣に頭に入れておいてほしいことかもしれませんね.
自戒もこめつつ・・・