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243 シルビオ・ゲゼル入門- 減価する貨幣とは何か

2009-11-18 (wed)|カテゴリー:

シルビオ・ゲゼル入門―減価する貨幣とは何か
廣田 裕之
アルテ
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ゲゼルって言う人は,実業家でありながら,経済学者.

マルクスやケインズの時代にあって,

マルクスは批判しながら

一種変わった経済制度を提唱していた.

ケインズも自著の中で,いちもく置くべき存在とみなしているという.

 

09年度現在進行形で僕らが取り組んでいる自律分散型直流スマートグリッド構想の

生みの親 ECOネットの提唱者 松本さん が,昨年らい

「ゲゼル経済ってのが~」

と,折に触れていうので,読んでみた.

 

ゲゼルはマルクスも問題視した資本家に富が集中していく資本主義の問題を

マルクスのように「搾取」自体を問題視するわけではなく

「利子」を問題視した.

 

ポイントは貨幣というのが他の商品と比べて「減価していかない」という特異性を持っているがために,他の商品に優越してしまうという事だ.

故に,利子が生まれる.と考えた.

 

そこで,減価する貨幣の基本は

じゃあ,貨幣も徐々に減っていく仕組みを作ればいいじゃないか!

というものだ.

 

ゲゼルのポイントは貨幣に於ける「貯蔵手段」と「交換手段」の分離だ.

 

貨幣が日を追う毎に減っていくならば,速く使わないと損になる.

そこで商品の購買が加速され,経済が活性化されるのだ.

そして減価分は実は政府の実質税収になる.

 

というのだ.

結局,ゲゼルの減価する貨幣が実践された国家は無いのだが

地方レベルでは実践された例もあるという.

 

結構成功したりしたらしい.

しかし,政府発行紙幣と二重化してしまい.

政府から止められてしまったりする.

 

減価する貨幣の仕組みは面白いと思うし,たしかに

経済に対してかなり,熱する効果があるのだろう.

 

つまり,所有する貨幣の価値が常に目減りしていくのだ.

例えば一ヶ月で1%減価するなどだ.

 

しかし,まてよと思う.

これって,実質的には恒常的にインフレを起こす事と一緒じゃないのか?

# 違ってたらゴメン.

 

インフレ経済下では,お金の価値は減っていくし,お金を速く手放して商品を

手にした方が良くなる. そらぁ,景気的には加速するだろ.

そして月一でそれまでの100円を90円に改めることで

見た目のインフレを額面上でキャンセルするってことじゃないの?

 

ううん.

破綻しない方が不思議な気が・・・.

 

ゲゼルは 減価する貨幣 を地域通貨とする事には反対だったらしいが,

むしろ現実に行われた成功事例は 全て地域通貨.

・グローバルに使える利子の付く減価しない貨幣

・地域で流通する減価する貨幣

の二本立てにした方が,まだ上手く行くのではないかと思われる.

 

ちなみに,やはり過去の議論だけあって,産業のかなり閉じた構造をベースに

議論されているように思われる.

 

今そんなことやったら,貯蓄機能のある,別の貨幣相当の機能を持つ商品に

すぐにお金が流れてしまうだけだろう.

速い話しが,ICOCAにチャージするなり,楽天ポイントにしてしまうなり,高島屋の商品券にしてしまうなり・・・・.

なんでもアリだ.

 

やはり,貨幣の貯蔵能力というのは,その根幹にある金.銀という物質の持つ,保存可能性に裏付けられたものであり,紙幣に貯蔵能力が無くなれば,いつでも,逆戻りする余地はあるのではないかな.

 

 

ちなみに,減価する貨幣の他にも, 自由土地 という概念,提案があるのだが,

社会主義的過ぎて,僕には議論以前の問題のように思えるので,ここでは

避けておくことにしよう.

 

うん,

 

ちなみに,減価する貨幣 と 太陽光発電で得た電力は使わないと徐々に消えてしまうから,人にはやく渡してしまった方がいい という構造とに 同型性を見いだしての

発言らしかったということがmatzmoto氏の先週のMTGでの発言から判明.

読んでみた次第である.

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