ありがとうございます.
ご報告が遅れましたが,9月5日に早産でバタバタしましたが,
第三子,長女を授かりました.
ご報告が遅れました理由は,急な出産で名付けが間に合わず
出生届期限のギリギリとなってしまったことにもあります.
妻は帝王切開術の後一週間程で退院し,昨日,娘も無事退院致しましたので
ここに報告させて頂きます.
名前は,谷口成海(なるみ)と命名させていただきました.
ホウボウから,命名理由のお問い合わせも多いので,
ブログに書くのもなんなんですが,書かせて頂きます.
The Inteviewers の方でもご質問頂きまして書きましたので,その転載となります.
個人の名前をあまりにさらすのもアレかとはおもいますが,
私の名前が谷口忠大(ただひろ),妻が宏美(ひろみ)
長男が悠天(はるたか),次男が樹央(みきひろ)
といいます.
第三子 長女は 成海(なるみ) と名づけました.
その由来ですが,
まず,この三人目で最後であること.
これは妻と結婚時からの約束で3人のこどもを授かる,
そして,希望としては男二人,女一人が理想でありました.
その3人目でありがたい事に女の子を授かることになりました.
また,長男が逆子で帝王切開をしたために,
医学的にも3人が限界であることが言われていました.
その最後で女の子をいただいたことは運命的であると言えるでしょう.
上二人の命名の由来は
http://theinterviews.jp/tanichu/1495981
に書かせていただいたとおりです.
揺らぐ時代の中で,空,樹々から一字をいただくことで,
共に,スケール感のある名前としました.
そういう中で,三人目,女性ということもあり,
母なる海か母なる大地 にちなんだ名前を付けたいと思いました.
大地というと,陸とか は,漢字的に男の子っぽい感じが多いです.
そこで,間接的に大地の恵,つまり稲穂の実りにちなんだ名前を
つけようかと,生まれる前には考えていました.
# 出生の予定日が秋の10月だったこともあり.
しかし,当初10月に生まれるはずだった彼女ですが,
台風の影響もあってか,妻が破水し,1ヶ月早い,まだ,
稲穂の季節でもなく,まだ残暑の暑い,9月5日に早産で誕生しました.
1ヶ月早い出産は,まったく考えて居なかったことで,
私たちは本当に動転しました.
しかし,そこにはやはり意味を与える,意味があると考えるのが
大切なことかと思います.
秋の稲穂と,夏の海との間で揺れていたのですが,
彼女が一ヶ月も早くにこの世に出てきたことを
汲みたいとおもいました.
また,ちょうど,出産後一週間後,
私が研究室を持ってから初めて,そして,実は
私が研究室生活を始めてから初めての研究室旅行に
学生たちと行きました.
鳥取の海はとても綺麗で,夏の終わりでしたが,
日差しが強く広大で綺麗な海を見て,砂浜を一人あるきながら,
「これは,海に軍配があがったな」
と,心に決めました.
また,生まれた顔を見て
家系的にも,妻の性格からも,
しっかりした学級委員長タイプの
女性になる気がしました.
# ていうか,妻も僕もそうだったし.姉も仕切りタイプだし・・・.
そういう意味でも,優しい可愛らしい名前より
広さと包容力の中に力強さを持った 海 のイメージが
近いのではないかとも思いました.
成 の字は,ふと 海 の文字との組み合わせの中で
目をひき,気に入ったのですが,
何事かを成す,成長する,荒れた事を平和にする.
などの意味があり,人間の深みと利発さを期待させる
一文字かとおもいます.
さらに,やはり不確実な未来は,悠天誕生の5年半前から
より進展し,経済状況の不透明さどころか,
エネルギー,政治システム,産業システム全体に この文明の構造自体の
ゆらび,もつれ,いがみが生じてきているように思います.
生命の進化は海から始まりました.
そして,陸へと生命は進み,進化を遂げた.
進化の源というだけではなく
日本において,海は 新しい変化の象徴でもあり,未来の象徴でもあります.
古来から新しい文化は海を渡ってきましたし,
また,明治からの新たな時代の幕開けも,海の向こうからの黒船来航に端を発しました.
海辺に経つと,人は自分の小ささを感じることができるとともに,
未知なるものへの好奇心を掻き立てられます.
大きな挑戦. その挑戦の裏には,かならずそれを支える事のできる
存在が必要になるのだと思います.
そのような女性になってほしいという思いもありました.
多分,これから,時代は大きな変革の時期を迎えていくでしょう.
多分,成海が生きる2100年頃,そしてそれからの時代は,
現在とはかなり異なる時代に突入すると思います.
あまりいうと,フェミニズム系の人の攻撃にあいますが,
僕には古風な考え方があります.
母親が十分な人格と知性を持たなければ
その次の代の子供は育たないと思います.
伝記上の偉人にはたしかに男性が多いでしょう,
しかし,
過去の偉人をみると,往々にしてその母は偉大でした.
また,妻も偉大でした.
つまり,本当の偉人は母であり妻なのです.
男性,父親はいくら偉大であっても,簡単に一代で滅びます.
その意味で,女性の果たす役割は,
男性よりスケールが大きく,
より未来を志向した存在であるように思います.
海 という スケール感があり,また,成海 という何処か
力強さのある名前をつけたのは,
僕のそういう思いがあってのことです.
ちなみに,成海 は新字で15画 で画数的にもとてもいいです.
なお,谷口は天格10画で凶なのですが,
10+15画の25画はやはり,いい総画数であります.
日本においては,やはり文化的に婚姻により女性は姓が代わります.
ゆえに,地格が重要だといいます.
とはいえ,結婚しないと,姓も変わらないので
総画もやはり重要でしょう.
さて,もう一つ今回の名付けで悩んだ要素があります.
それは,家族全員のなかでの文字のバランスです.
字など関係ない とおっしゃる方も居られるかもしれませんが,
やはり,名前はsymbol です.ならば,その名前自体が,
5人で並んだ時に,何かおさまりのいい,仲のいい,
そのsymbol 象徴となるべきでしょう.
夫婦で相談し,
父から母,兄弟 すべて二文字ですので, 三文字名は避けました.
さて,次に実は 4人とも 最後の文字が末広がりなんですね.
「大,美,天,央」
ということで,「これに外れてはいけない」,と末広がりで 始めは考えました.
しかし,そのなかで文字の種類が無いことや,
一人ひとりの末広がり文字が違うので,ひとりだけ揃えるわけないはいかない
(大,美,天,央は使えない)
などの制約でつまりました.
最終的には,それを諦めたわけですが,
ただ諦めたわけでもありません.
揃えることの意味 を一歩進めて捉え直しました.
自然の,有機的な造形美はある種不完全な秩序の中にこそあるようにおもいます.
お世話になっていて,私の学位論文の副査でもある,建築記号論の門内輝行先生の
街並みの記号論の研究のなかで,以下のような美しい街並みの構成要素についての
おはなしがありました.
よい景観の街並みとは,決して同じものが並んでいるものではない.
町並みを通して不変なコネクターと,変化するシフターが存在して,多様な建物が
ある種の秩序を持って並んでいるときに,私たちは美しさを感じるのだ
というような話でした.
これは,多くの自然現象から,我々モデル屋が法則性を見出そうとモデル化する際に,
感じる微妙な裏切りというものと,近いようにも思います.
8割のデータからは いかにもありそうな法則性が 残り2割に当てはまらない.
見事に生成されるパターンとしての法則性と,それに対する軽やかな裏切り.
そのコネクターとシフターのバランスこそが,未完成だからこそ,そこに閉じずに,
柔軟性を許容する有機的な美を成すのではないかと考えました.
ランダムではない,でも表面的な画一性は与えない.
そこで,末広がり路線を捨てる思いに至りました.
その裏切りの代わりに,成海 の名前は また,ある種の法則性,つまり,
繋がり を我が家の名前に含めてくれています.
これまでのパターンは,漢字の中で生成されていました.
今度はひらがなで見てみましょう.
ただひろ
ひろみ
はるたか
みきひろ
なるみ
それなりに,そろっているでしょ.
忠大と悠天 がその 漢字のサブパターンでつながっているように,
母親 宏美 と娘の 成海 はひらがなサブパターン ろみ で,
つながっています. また,男4文字,女3文字のきれいな別れ方もしています.
男同士でも漢字で見れば,長男の方が父親とのパターン類似度は高いですが
平仮名で見ると次男の方が高いんですね.
成海という名前の弱点としては,命名前に何人かの人から
その 見た目の中性性をあげられました.
その点からも,このように家族の名前秩序の中で,
母との繋がりを強くできたのも良かったかな,と思っています.
全員最後の文字 末広がりという 5人共通の大域的なルールの生成を
拒む代わりに,新たにローカルなルールを産みながらシフトさせていく,
一人,末広がりで無いのは,確かですが,ちゃんと繋がっているんです.
そして,その繋がりの軸を生み出すことで,末広がりだけでない,新たな繋がりが,
家族の名前の形象の中で生成されているのです.
こうして家族5人の名前はある種,開かれたパターンの中で 完成をみたと
感じています.
ちなみに,呼び方から もう一つ.
あ行 は明るくて いいですよね.
あと,
なるみ
っていう呼び方は,昔だとメジャーだけど,今は多くないんですよね.
でも,成海って全然野暮ったくないでしょ?
結構,命名本などみてても,女性の名前ってパターンが,男性より限られてて
トップ10の名前(よびかた)への集中がスゴイ.
やっぱり,同じ名前の人があまりに多い名前(妻がそうだった)もちょっとなぁ
ということで,最近多すぎる名前は避けることも考慮にいれました.
さてさて,いろんな角度から,
長女 成海の名前の由来をたどってきましたが,
やはり,海 の持つ 深さ,広さ,可能性,魅力 その大きさが
中心的ですね.
長男から 考慮に入れてきた
自然,意味,画数,響き,形象,季節
は,第三子でも,全て考慮に入れられた
と思っています.
友人のくららから命名書プレセントいただきました.
結局,悩みに悩んで付けた名前.
出生届 生後14日までに出さないといけないところを
出せず,14日目が休日だった時には,その休み明けの開庁日まで
という,例外ルールを適用し,その前日の晩に決定し,
16日目に出すという,ことまで 追い込まれましたが.
ここまで考えてつけた名前だといえば,
娘も理解してくれることでしょう.
ちなみに,あと一つ.
海 といえば,海外ですが.
谷口家は とってもドメスティックなお家柄でして,
英語は親兄弟全員苦手,海外で仕事する人もとても少ない
農家出のお家柄でございまして
# 僕も研究者だけど,ぶっちゃけ海外は苦手・・・・.
ちょっとくらい,国際性のある女性になってくれてもいいなー
と思ったりもしてつけました.
明るく朗らかで,みんなの信望をあつめ,
また,挑戦する人間をサポートし,
世の中の発展や多くの人の幸せに貢献できる
女性になって貰えればな,と思いました.
こんなところです.
名前はラベルかもしれませんが,
その子供にどのような 願いを込めるか,
恣意的ではあれど,ある種,有契性を持つ記号です.
彼女が,この名前に則して生きていってくれるのか,
反発して生きて行くのかは,わかりませんが,
この名前を一つの軸として,彼女の人生を歩んでいってくれたらと思います.
初めて妹:成海と遭遇し,硬直する悠天と樹央