本:「構造主義」 ジャン・ピアジェ
ジャン・ピアジェは僕がリスペクトする20世紀の巨人ですが、
その彼が構造主義??
というのは、いままでどうも納得していませんでした。
僕にとって、ソシュール、レヴィ・ストロースをはじめとする
構造主義とピアジェのイメージには大きな開きがあったのです。
この本では、ピアジェの視点から各分野での構造主義の現実や問題が
指摘されています。そのためか、いろいろな人名がでてきまくり、
構造主義や過去の哲学にあまり詳しくない、私としてはキビシかったです。
西洋科学を知ろうとするとき、先端で思想を開拓している
著者、研究者は必ず、プラトン・ヘーゲル・デカルト・カント・
ウィトゲンシュタインといった過去の哲学者の思考を引き合いに出します。
日本の科学者、学生、教育者はそういう教養を持つことを今ひとつ
理解していない気がします。大学の研究者は基本的に思想家であり
ゼネラリストで在るべきだと、僕はおもうんですけどね。
そうでないと企業の研究者との違いって何ナノかな?
産学連携とかいうけど、ほとんど大学の学生を体のいい安いバイトと
しかおもわないくらいの企業が多い中で・・。
ちなみに、この本、タイトルは「構造主義」ですが、内容は
「構成主義・・構造主義を超えて」
くらいのタイトルの方があってます。
共時的で静態的な構造にばかり目がいっていた構造主義の中で、
ピアジェのモチベーションは常に発達、構成のプロセスにあった。
しかし、構造の重要さもモチロン承知していたので、その潮流の中には
のっていた。
そんな、時代とピアジェの関係がなんとなしに読み取れる一冊でした。