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「新・ネットワーク思考」を読んで

2006-06-29 (thu)|カテゴリー:

長らく読んでいなかった,これを読んだ.

研究者のみならず,世の中で話題になっていたので,読んだ人も多いであろう.


内容的にはバラバシさんがネットワークの複雑性について,語っている.


べき乗則,パーコレーション,ランダムネットワーク,「ハブ」,統計力学との関連性,くりこみ群.


長らく複雑系の周辺でさまよっている僕にとっては決して新しい話ではなかった(100%理解は出来てないにしろ)が,語り口の平易さに「さすがメリケン研究者」と思った.


日本人の書く科学の書はとかく難しくなりがち,それに対し英語の書物にはわかりやすいモノが多い.数学関係などはわざわざ英語で読んだ方がわかりやすかったりする.


本書の初めでバラバシさんがシステム研究の意義について良いことをいっているので,引用しよう.


ここで読者に,決して新聞記事にならない秘密の話を教えてあげよう.

われわれは宇宙をバラバラにしてしまい,どうやって元に戻せばいいのかわからないでいるということだ.前世紀,われわれは何兆ドルもの研究資金を注ぎ込んで自然をバラバラに分解したが,今はこの先どうすればいいのか手がかりの無い状況なのである—-何か手がかりがあるとすれば,さらに分解を続けていくことくらいだ.


特にバイオロジストはこの感覚を理解して,進んで欲しいものだ.要素還元主義ならぬゲノム還元主義は分解して還元するだけでは価値がないし,また,ゲノムへの還元は多くの場合,個体発生というマッピングが潜在的に持つ非線形性の為に通常健全には行えない.


この辺りのフィーリングはカウフマンの「自己組織化と進化の論理―宇宙を貫く複雑系の法測」の方がベターかな?


今はネットワーク研究はSNSの隆盛,GoogleのAPI公開などもあいまって,隆盛を極めておりますが,本著者が物理学出身であるということからもわかるように,現在のところの成果はきわめて数理物理学的です.まだ,どれだけ,この手のネットワーク研究に「株」がのこっていることやら・・・.それはわかりません.


 


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