恐怖!IFRS(アイファース)が日本に来るのかっ!!
友人が「新しい会計基準」の研究・説明をするという,変わった部署に異動になって転勤していった昨年.
久しぶりに東京で飲んだ・
「何をやってんの?何がかわるの?」
「ほんと,イロイロ変わるよ!」
と,いわれても,「ふ~ん」と,どうせコマカイところがちょこちょこ変わるだけだろうとタカをくくってた.
帰りの新幹線で帰りの電車で読む雑誌を探してると
こんなのが有った.
「お? これの事かな?」
と,手にとって彼にメールをしてみると,その通りだとのこと.
帰りの電車では別の本を読んでると時間がなくて,流れて今日読んだ.
さて,
衝撃です.
ほんまに変わります.
まずは上場企業だけらしいですが,いろいろシャレにならない感じがします.
中小企業まで,強制適用なら,日本が震撼しますよ.
適用した瞬間,財務諸表がガラっと変わってしまう会社だってある.
イロイロ試算が載っていたが,
JALなんて純資産が80%近く減る??
これは,圧倒的恐怖です.
PBRベースで株式投資が行われているとしたら,株価が理論的には1/5に落ちるという事になりかねません.
会計を少しでも学んだ人間なら,CF(現金の流れ)と決算,財務諸表の利益が一致しない事は知っている.
つまり,会計とはある種のバーチャルである.
とはいえ,簿記2,3級,中小企業診断士の財務会計を学んだくらいのボクからすれば,
やっぱり,筋は通っていて.納得できるバーチャルなのだ.
だから,変化すると言っても,そこまで変化しないだろうと思っていたが,
「原則」を変えるとこうも影響がでるものなのか!!!
おそろしい・・・
IFRSはいわゆる国際会計基準と言われ,アメリカではなく,EUの方が押しつけてきている規準なのだ.
高度な交渉術の前に,世界地図はEU色に染められてきていて,日本はアメリカ以上に後手に回っているという.
国際会計基準に従うことで,グローバル企業の連結決算がやりやすかったり,国外の投資家が日本企業に投資しやすくなったりと,メリットもあるのだが,
やはり,問題も多いとおもう.
もちろん,中には,問題点を改善しているところもあり,納得いくのだが,
納得いかないし,日本人の人間性・企業文化にあわないだろうという点もある.
そういう点については,10年そこらの短期的な視野ではなく,人類の最もいい会計基準とはどういうものかという視点から議論をすすめてもらいたい.
いい話はおいといて,とりあえず,ボクにとっての衝撃
まず,最大の衝撃
B/S P/Lが無くなる!!
財政状態計算書と包括利益計算書 たるものが現れ,左右でバランスして美しいB/Sが無くなるのだ!
ガッデーム!
包括利益計算書というのが,まあ,損益計算書っぽいのだが,まず,この貸方・借方の美が後退するのが,許せない(あ,これは実質というより景観論に近い・・・)
純利益->包括利益
利益の認識が全くかわる.
今まではあくまで収益から費用を引いて純利益となり,それが純資産の増加とバランスするという考え方だったが,
これが,ダイレクトに純資産の増加で見積もるという包括利益に変わる.
純利益ではあくまで 本業としての ものをつくって, サービスして 稼いだ分というのが積み重なって利益になるイメージだったが,
包括利益ではそんなのも関係なく,不動産の評価益も,有価証券の評価益もまとめてドンという感じになるもよう.
時価で追うことが出来るのは,外部から投資する人間にとってはいいのかもしれないが, やはり,企業がこつこつ ものづくり,サービスづくりをする という地に足をつけた企業活動を基本と考えると,
どうも相容れない気がする.
会計には投資家にむけたIRとしての会計だけでなく,社内に向けた「管理会計」としての役割がある.
やはり,収益費用アプローチをとるのが適当だと思うが・・.
ここも,IFRSの資産負債アプローチにコンバージェンスしていくのだろうか・・・
少数株主損益が差し引かれない!
50%以上の株式を持つ事で親会社になるが,
とはいえ,株主として利益を100%わがものに出来るわけではない.
そこで,アメリカやこれまでの日本の会計基準では
親会社以外の少数株主の取り分を鑑みて,少数株主損益というのを
差し引く・・・というのは,簿記レベルでも習うまっとうな話なのだが,
これが,無くなるらしい!
なんでだよ!? うーん
時価主義徹底???
基本,時価主義のため,何でも時価評価.
でも,時価評価は,経済の荒波にもまれるから,外部環境の変化で,簡単に利益がでたり,無くなったりする.
経営は,出来るだけ腰を据えて進めるべきものであり,本業で着実な技術蓄積と実績が上がっているのに,金融的な環境変化で利益が出たり,損が出たりするのは,
果たして企業の成長をちゃんと評価できるのか?
という気がする.
のれん代償却不可!
のれん代を損に含められません・・・
資産負債アプローチという視点からは,適正な純資産のラインまでは損を計上していくのが妥当な気がするが,
しかし.そこも「時価」ということなのだろうか?
そのM&Aが成立した時点でその企業の時価は,その通りのものになったとかんがえるのか?
日本はこれにコンバージェンスする予定らしいが,もんだいがあり
先に,「負ののれん代」償却廃止だけ2010年4月~早速採用するらしい.
ところで,そんな非対称性のこしたら,また,変なスキームが出てきそうな気がするのだが・・・.(ちょっと考えてみよう・・・)
退職給付債務の一括償却
これが怖い.
暴騰のJALが80%近く純資産を毀損する恐れがあるというのは,これだ.
いままでの日本の会計基準では退職金の積み立て分のみ損失計上すればよかった.
これに対し,現在確定している退職金の現在価値分を,積み立てねばならない.
よって,IFRSが適用されたとたん,巨額の損失を出す企業がでるのだ.
これの不明瞭さは「割引率」にあるとおもう.
額がでかい中,将来に向けての金利をあるいみ勝手に設定して,決定しなければならないのだ.
制度の気持ちはわからんでもないが,
これも,結局,逆に不透明になってしまう気がする.
あと,ボクがどちらかというと,「いいじゃん」とおもったのは
在庫の後入れ先出しの禁止
過去に仕入れたものから,やはり価値はなくなっていくだろうから
こっちのほうがやっぱり自然に思う.
後入れ先出しの冷蔵庫なんてみたくないし.
開発費を資産計上,後に償却していく
これも自然だと思う.
開発の初期投資をその期の損とするのは,なんか変だと思っていた.無形資産として貯まっていくものもちゃんと捉えなければ.
しかし,開発にリスクはつきもの.
無形資産も果たして,それだけの資産価値があるのかどうかは分からない.
それが損として見えにくいのは投資家のリスクを増すことになるかもしれないし,
管理会計上も良くないところがアリソウ.
黒字倒産が増える気がする.
デパートなどの”消化仕入れ”が代理人扱いに・・
デパートなどでは 中に入ってるお店が売り上げた瞬間,仕入れたことにするという「消化仕入れ」の商慣行がある.
これは,実質,「場所貸し」的なことしかデパートがやっていない事になるのだが,売り上げはちゃんと立つようになっていた.
ところがIFRSはそれを許さない.
つまり,媒介をした差額分だけが,売り上げとなるのだ.
これにより百貨店の売り上げは「半減」しかねない.
もっとも,売上利益率は激増する事が間違い無いが.
デパートは最早,小売店ではなく,サービス業,不動産賃貸業と姿を変えることになるのだろう.
しかし,これは適正な評価な気がする.
とにもかくにもいろいろ,激震が襲う可能性があることが
わかった.
なんとか,BS, PL, 純利益 あたりは残ってほしい気がするし,
また,投資家を主役にみる視点より,企業活動を中心にみた視点で,日本にいいかんじの導入を図って欲しい気がする.
ていうか,自分が勉強したことが役に立ちにくくなるんだよなー.ちちち!
アツシ 2009-07-28 (tue)
そうなんです。IFRSで変わることは、原則主義になるということです。アメリカの会計基準などは詳細な規定がある規則主義だったのです。これによって、会社はどうして、どのように会計処理をしたかを注記しなければならなくなります。日本語でも東京証券取引所に上場しているヨーロッパ企業がIFRSベースの有価証券報告書を作成しています。日本の同業が100ページ程度の報告書を2000ページくらい費やして作成しています。作成初年度は企業にとってかなりの負担ですね。2012年から適用と仮定しても、有価証券報告書は、2期比較が必要ですので、2011年2012年の2期間の作成と2011年の前提となる2010年の財政状態計算書をIFRSで作成する必要があります。ですから、対象となりそうな企業はすでに対応を開始しています。でも、ヨーロッパでもIFRS適用は上場会社に限られていまして、税務目的や非上場企業は各国基準で従来の財務諸表を作成しています。日本も同様のスタンスになるように協議しております。
それと、収益認識基準が変わると企業のITインフラ特に会計ソフトだけでなく業務系も変更する必要が出てくる可能性が高いことが結構な負担になりそうです。
国際化ということで受ける効用と費用の比較考量が必要ですね。
たにちゅー 2009-07-31 (fri)
コメントありがとうございます.
プロの発言ですね-.
そうですね.
なんでも,国際化すれば良いというものでもなく
効果を考えないといかんすねー.
柔軟な吸収で済ましたいですねぇ・・・.