昨日から京都テルサでシステム制御情報学会っていうのに参加してるんですけど.
昨日は,初めて頼まれてセッションの司会をやってきました.
ちょっと緊張したけど良い経験になりました.
今日は,先日受賞が決まったとここでも報告させてもらった
システム制御情報学会論文賞の受賞式で壇上で学会長から賞状と賞金を頂いて参りました.
本当に有りがたい話でゴザイマス.
ちなみに受賞論文は
谷口 忠大, 椹木 哲夫:
“身体と環境の相互作用を通じた記号創発:表象生成の身体依存性についての構成論”
システム・制御・情報学会誌, Vol.18 (12), pp.440—449 .(2005)
http://www.iscie.or.jp/trans/trans18.html#12
コレでゴザイマス.
話的には新進的な話だけど,実証的なエヴィデンスでもなければ,公理から組み上がった理論でもない
はたまた設計のための工学でもない.
いわゆる知能の構成論的理解という科学に於ける説明力に重きを置いた論文で,
一種の数式をつかった例え話,イマジネーションをかき立てる物語.
もちろん,ロジック通すところは通してるし,実験だってデータをいじっている訳じゃない.
しかし,鋭い人は読めば,「なんかおもしろい」と共に「実証にはなっていない」と言うことにも
気づいていただけると思う.それは積極的に構成論的研究とよばれる研究・表現方法に突入していることなのです.
物質科学的手法が,実験結果から最小限の帰納しか引き出せない以上,我々は真の理解に
使える学知を科学を通して得ることは領域を限定してしかできない.
昨日,NHKで「脳科学でキレる子のメカニズムがわかってきた」とあったが,ちょっと語弊がある気がした.
そこまで現象を一般化するのは危険だよ.
要素還元的にエヴィデンスを求めても,そこから観測されるマクロな現象に発展するプロセスが
非線形で創発的特性を有する(因果性が直感で読めない),また系が可塑的(時変的)である以上
また,開放形で複雑系,つまり他要因の影響が乗り入れてくる以上,状況を限った,分子レベル,脳活動レヴェルでの
エヴィデンスに人間の教育問題,上手く豊かに社会生活を生きる,社会を形成することへの貢献を
期待することが出来るのだろうか?
社会学,心理学,教育学が言語ベースの議論しか展開出来ない以上,より強固な論理力と記述力をもつ
物質科学系の学派が乗り入れてくるのは仕方ない.しかし,その方法論は一部物理の世界のような限られた
領域でのみ行儀良く真価を発揮するのであって,それを生物学,脳科学におしつけていくのは横暴な面がある.
その研究者は控えめで行儀良くないといけない.
それを報道するマスコミもそうあるべきだが,そこまでわかってないから致し方ないのか・・・.
真理を探究しようとすることは当たり前だが,人間が理解できない,使えない真理を探究してもそれは
いみがない.意味がないというか意味が少ない.
あ,脳科学が無駄といってるわけではありません.
私もニューラルネット研究者でもあるわけで,そんな全否定したら生きていけないばい.
なにがいいたいかっていうと.
社会貢献考えながら,皆の現象理解を深める研究をやりましょうということです.
ん?よくわからん?
科学的手法にのっとってたら間違ったことを言っていないというのはウソです.
自分の研究成果がどれだけの真実と拡大解釈が可能か,常に懐疑の目を光らせて生きましょう.
物質的繁栄を越えて行かなければならない21世紀.
あらたな研究のモードの可能性を模索しましょう.
それは全て,子供と孫の2050年をまともな時代にするためにだ~.
なんか,勢いにのって,激しく書いてしまった.
学術論文でもないただのブログなんで,読み流してくださいな.
脱デカルト・・・というのはウソで,ポスト・デカルトがんばるべ.