[コラム] 言語,貨幣,鉄道,送電網,インターネット
これらは似たようなもんだ,
といったら語弊があるだろうか.
これらは人間の行って来た決定的な発明で,全て空間と時間の構造を歪曲させてきたモノだと思う.
# 他にもあると思うが・・・
・言語
特に書き文字は,意味の伝達について時空間を超えた.
今ここの個々の私の感じる経験を,隣の,遠くの,未来の,誰かに伝える.
歴史が出来る訳だ.
正倉院の中に残る文章など,そういうものだ.
言語はそれまで何もなかった空間にある種の意味のトポロジーを生み出したとも言えるだろう.
ある意味で,人の経験は言語により語られることで個性を失った.
りんごはりんごでしかない.
・貨幣
価値を貯蔵し,財の意味を変えた.
財は個別性を失い,貨幣という軸の中で捉えられるようになった.
ある意味で,全ての財は個性を失った.
1000円の商品は1000円の商品でしかない
・鉄道
圧倒的に空間の移動時間を短縮した.
モノの輸送が加速され,他国への侵略が迅速になった.
空間の支配が容易になった.
明治時代に鉄道が導入されることによって
東京大阪間が 14日から 20時間 になったんだそうです.
その後,現在は3時間ちょっとに短縮されていますが,
この始めのイノベーションははかり知れません.
クルマや飛行機は結局この延長線上である.
クルマは鉄道の弟子で,都市のトポロジーを破壊するのが専門である.
都市は個性を失っていく.
・送電網
送電網はエネルギーの空間を消し飛ばした.
私達の都市生活においては,近くで石油がとれなくても,原子力発電が出来なくても
お金さえ払えば存分にエネルギーを消費できる.
中東でしか得られないエネルギーを,島国でむさぼり食うことがより容易になった.
# タンカーとかの方がクリティカルなのかもしれんが・・・.
・インターネット
インターネットは情報の空間を消し飛ばした?
否,商取引の空間を消し飛ばした.
実空間の商圏概念がぶっとび,小売りは空間を超えた価格競争に巻き込まれる.
意味,価値,移動,エネルギー,商取引
人間の文化のイノベーティブな進化は,そのほとんどが 時空間の構造を変容させる技術により起こっているように思う.
この話しは,立命館大学の制御論・知能ロボット研究で有名な吉川教授と
「ヒューマノイドロボットは普及するか?」
という,議論で盛り上がった時に,いろいろ考えてみた.
ヒューマノイドロボットは何を変えるんだろうか?
石黒浩先生のような,遠隔操作ロボットなら,空間を超える tele existence??のだろうが
個人的には,次のイノベーションとして,それだけでは,まだ足りない気がする.
ヒューマノイドロボットは広まらない
というのは,一つの解なのだが,
もし広まるとすれば,それがどういう意味をもって広まるのか?
という点を考えるのは面白いようにも思う.
言語,貨幣,鉄道,送電網,インターネット.... うーん.