0085 自己創出する生命 - 普遍と個の物語
筑摩書房 (2006/07)
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DNAという呪縛への格闘、の軌跡
現 JT生命誌研究館 館長の中村桂子先生の結構前の著書です.
最近文庫化されまして,やすくなってて買いやすかったっす.
T田先生のつながりで一昨年くらいにご本人にお会いしたこともあり
西垣先生の基礎情報学の中で参照されていたのもあり読んでみました.
コレを書かれた時は,生命誌研究館に移られる時といった感じで
まだ,学際的啓蒙活動は始めたばかりといった,なんというか
学際の怪しさ,というか思想領域の言及については,まだ,ピュアな
サイエンティストらしさがにじみ出ていました.
分子生物学から一線をある意味で引いて,「生命誌」と名づけられた
ストーリーなどが,書かれていましたが,
その線引きが,門外漢から見ると凄い僅差に見えてしまう.![]()
中村先生は,「大事なのは遺伝子じゃなくて,ゲノムなんだ!」
とおっしゃられますが,
その違いが分かるといえば分かるが,僅差としか思えないといえば僅差としか思えない,
門外漢なのです.わたし~.![]()
最近,新聞で読んで,本書の文庫化に寄せての付録でも書かれていましたが,
「プロテノーム」など,とにかく数え上げる系のオーム主義的な安直な研究プロジェクトに対して
多額の国家予算を投じることに対する批判には,
同感します.![]()
ちなみに,これが小額の国家予算で皆さんががんばらはるなら,別に批判しませんが・・・.
最近の研究予算についても「選択と集中」などといいだす,世の流れはいかがなものかと・・・
今日も,ATRのラボのセンセとしゃべってたんですが
「やっぱり,研究予算は薄く広くに限りますよね.」
「ほんと,そうだよ~」
基礎研究は,何が出てくるか予測がつかないし,お金がちょっとくらい少なくても,
それならそれで,少なくても出来る実験プランを考えたり理論で勝負したり,いろいろ
有り得ると思うねん.そのハングリーさが,また,研究者を鍛えることもある.
選択と集中で,刈り取られた芽が生み出したかもしれない可能性を切り捨てる方が
多分,知の総和としては目減りする気がする.
閑話休題
思想的な読み物としては,そこまでの興奮はございませんが,
分子生物学の一線を生きた著者が思っていることを「フムフム」と読むぶんにはおもしろいのではないでしょうか.
うがってよむと,中村先生の純粋な科学観と,楽観が感じられたりもしました.


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