0126 創発 まちづくり
学芸出版社
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「創発」という言葉を本場,理系の複雑系,システム屋が使うのをビビリだしてる気がする,という話を以前にしたが,その一方で,
活発に使い出している人たちもいる.
ビジネス界啓発系の人たちと,都市・まちづくり関係の人たちだ.
本書は広島でのまちづくりの事例を「創発」というキーワードでNPOや大学の活動を5事例ほどまとめている.
創発現象に正面から向かい合ったときに,その事例としてあがるのが,生命現象であったり都市であったりする.
つまり,自律性をもった諸要素が相互作用しながら活動することで,レイヤーが一つ上のシステムが立ち上がってくる,
それが要素の総和以上の特性を歴然と持つということ.
このような,システムを人工的に構成しようとしても要素の持つ自律性,適応性をそのレベルまでくみ上げることが現代では困難なために,
工学的には創発現象を相手にするのは難しい.進化的計算を創発的計算と呼び変えてみるくらいだろう.
分析的態度にとってみてもそうだ,
アナリティカルな立場からは,創発現象を総体的に記述するのはキビシイ.
もちろん,適切な抽象度を設定することで,ベナール対流やチューリングパターン.また,
それにヒントを得た古澤等の細胞分化のダイナミカルシステムモデルなど,好例はある.
しかし,全体的にはキビシイし,一部,クリエイティブな人たちだけが切り込んでいる.そんな気がする.
(幸いなことに,そんなクリエイティブな人が一部,このブログをみてくれていたりする.カナ?)
ところで,学問的には創発現象は存在しなくても,現象としては日常的にそこいらに存在するし,
都市に対する行政を考えるときにはそのダイナミクス無視してはもはや冷静なハコモノ行政,ドウロ行政すら成り立たない.
都市に対する政策というのは基本的には直接制御ではなく,環境設計を通した周縁制御(marginal control).
なかなか,理系の人間には全体像が見えづらいのがつらいが,トップダウンのコントロールが許されないという制約条件にしても,
システム論的には非常にチャレンジングな題材なのは間違いない.
最近,椹木先生の下の学術創成研究で「人を含んだ系における創発現象」,および「作る設計論から育てる設計論へ」
というキーワードで動いている.
そのいみでもこんな本はちょっと面白かった.
もちろん,筆者である文系諸氏,活動家諸氏が「創発」という言葉をどこまで深く議論しているかは疑問ではあるが,
あるいみそれは些細な問題だろう.
(中には創発を「創」と「発」に切って解釈している人もいた^^)
ただ,各氏が結構,まじめに創発という言葉に敬意を払って,理解しようとしていたのは好感が持てた.



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